娘がいやがる間違いだらけの父親の愛/岩月謙司

 

 

 タイトルを見た時には、こういうおとーさんは嫌われるあるある、みたいな、軽い感じの内容なのかと思って手に取ってみたのですが、その想像に反してかなりディープな内容の本でした。

 

 この本が出版されたのが1999年ということで、もうふた昔前なんで、状況はかなり変わっているような気はするのですが、昔はおとーさん方は中高生のムスメたちには口もきいてもらえないというのが通り一遍の状況だったのですが、この本を読んでいて、おとーさん方がこういう人たちだったら、口もききたくなかっただろうなぁ、と思わされました。

 

 口を利きたくないどころか、人生を狂わされて殺してやりたいくらいのムスメさんも登場します。

 

 そこまで深刻な状況を生み出してしまったおとーさんは、軽い気持ちでムスメをふとオスの目で見てしまったとか、その程度のつもりみたいなのですが、それがノゾキやおサワリにエスカレートするおとーさん方もおられたようで、それをキッカケにスカートがはけなくなったり、うまく男性とつき合えなくなってしまったりするという深刻な影響を受けたムスメさん方もおられるようです。

 

 正直、ワタクシも二人のムスメたちの父であるワケですが、時代背景は異なるにせよ、その辺りの距離感には、ムスメ達の思春期の時期に単身赴任生活が長かったこともあって、ひょっとして傍から見ると過敏な程に気をつかっていて、ムスメ達にオス的な目を向けるなんてありえないのですが、世の中はそういう人がいるかもしれない、というのはなんとなく想像できるところです。

 

 ただ、その影響の大きさというのは、厳に戒めとすべきところで、すべてのおとーさん方に「軽い気持ち」がムスメの人生を狂わせることをキモに銘じておいて欲しいモノで、この本で紹介されているようなおとーさん方が、今は絶滅していることを切に願ってやみません。