なんで家族を続けるの?/内田也哉子、中野信子

 

 

 内田裕也樹木希林夫妻の一人娘で本木雅弘夫人である内田也哉子さんが『日経Woman』のイベントで脳科学者の中野信子さんと対談したことをキッカケに、その後も対談を重ねて、その内容をまとめた本です。

 

 内田裕也樹木希林夫妻はよく知られているように、別居での結婚生活を送られていて、そういうある意味特殊な家族の形態ということもあって、成長の過程では何かと葛藤を感じることが多かったということで、その葛藤が脳科学的にどういうものなのか、ということを脳科学者である中野さんにブツケようと対談に臨まれたようなのですが、中野さん自身もご両親が不仲で結局ご両親の離婚を体験されたということもあって、多くの葛藤を抱えていたこと言うことで、初回の対談時が初対面でありながらも、かなり深い部分で邂逅するところがあったようで、その後もコロナ禍の中でのリモート対談を含めて4回の対談を重ねられることになったということです。

 

 おそらくお二方とも海外での生活があったが故に却って葛藤が深くなったように思えるのですが、日本的な家族の在り方というのは個人の自由を縛る方向に作用することが少なからずあると思われるのですが、一旦海外の家族の在り方を見ると、そういう個人を抑圧するような家族の在り方に疑問を感じてしまうのは仕方のないことで、内田さんが破天荒な家族の下にあって、本人の意図しないところでの海外生活だったのかも知れませんが、ある意味救われた部分があったのかも知れませんが、逆に中野さんは、ちょっとディープな闇に見舞われてしまってアンラッキーだったのかも知れません。

 

 ただ、お二方ともご自身と真逆のキャラの配偶者のであったが故に、それまでの”闇”から解放されたのは僥倖だったと感じられている部分もあるようで、今後の日本における”結婚”の在り方はもっともっと個人のシアワセに重きを置くべきで、その方が却って出生率も上がるんじゃないかというフロクもさることながら、国民全体の満足度が増すんじゃないかという気がしました。

 

 正直、この本に関してはワタクシ自身の読取りが浅いなぁ、と反省しきりな部分もアリ、もっともっと読む人によって深く感じるところがあるような気もしますし、家族の中で葛藤を感じているのであれば、何か読み取れるヒントがあると思うので、是非とも手に取ってもらいたいところです。