禁断の江戸史/河合敦

 

 

 河合センセイの「教科書に載らない」シリーズの一環で、江戸時代にフォーカスした内容になっています。

 

 江戸時代というのは、明治政府が徳川幕府の施政を否定するような刷り込みをしたモノが”正史”として歴史教育がなされたこともあって、かなり捻じ曲げられた側面があり、我々が学校で学んだ江戸時代の歴史は多少実像と離れた部分もあったようで、歴史家としてはかなり興味深いジャンルみたいです。

 

 ただ、この本ではそういう解釈がどうというよりも、元から歴史の教科書では取り上げにくい江戸時代の市民生活やサイドストーリー的なモノが多く取り上げられています。

 

 特に面白かったのが、江戸の市民生活に関する内容で、実は外食は江戸時代から始まったようで、寿司屋や蕎麦屋や居酒屋が外食として成り立っていく様子を紹介されています。

 

 また、江戸時代に日本で初めての帝王切開の手術について紹介されており、それなりに外科手術の技術が進化していたのには驚きます。

 

 今の歴史教育の考え方だと、こういう内容をカリキュラムに加えるのは難しいようには思いますが、歴史のダイナミズムを知る上で、そこに生きていた市井の人々の普段の生活の様子を知るのは、より深く歴史を理解することにつながるような気がするので、こういう部分を取り入れられないかなぁ…とは思いますが、無いものねだりですかね!?