歴史探偵 昭和の教え/半藤一利

 

 

 今年の一月に亡くなられた”歴史探偵”半藤一利さんの遺稿集です。

 

 タイトルには『昭和の教え』とありますが、モチロン半藤さんのメインフィールドである昭和史についての内容はふんだんにありますし、歴史的にもあらゆる時代のトピックをカバーされていますし、テーマとしても、半藤さんのライフワークである戦争の惨禍を次世代に伝えるシリアスな内容から、和宮様のトイレについてのおハナシなどかなり下世話な内容まで含まれていて、半藤さんの懐の広さを垣間見えるモノとなっています。

 

 ただ、この本の目玉となるのは、皇室警察の『二・二六事件記録』が発見されたのを受けての二・二六事件の振り返りという企画で、二・二六事件における反乱軍の動静を辿って、その意図を推し量るといったモノが取り上げられています。

 

 その中で反乱軍がロクに弾薬も持たず皇居に押し入り、天皇陛下に自分たちの決起の意図を説明すれば賛同してもらえると思っていたという、おおよそ軍人とは思えないファンタジーで反乱に及んでおり、リアリズムの権化であるはずの軍人がこんなんじゃ、破滅に至るよなぁ…とあきれるばかりです。

 

 精神論的なモノが大事なのはわかるのですが、そればかりに依拠してしまう日本人の考え方って、結局今に至るまであまり変わっていない気がして、危ういなぁ、ということを半藤さんは警告を鳴らし続けておられたのですが、こんな体たらくです…

 

 今年の最後の記事として半藤さんへの追悼の意味も込めて、遺稿集を取り上げてみました。

 

 ということで、今年もこのブログにご訪問いただき、誠にありがとうございました。

 

 今年は10月くらいまではコロナ禍の影響が大きかったのですが、図書館の閉鎖などには至らず、無事一日欠かさずアップすることができました。

 

 来年もできれば毎日アップしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。