本を売る技術/矢部潤子

 

 

 

 あけましておめでとうございます。

 今年もこのブログをよろしくお願いいたします。

 

 今年は、本を紹介するブログにふさわしいこの本から始めてみたいと思います。

 

 この本は、長らくパルコブックセンターに務められた方のご経験を、本屋でアルバイト経験のある出版社の営業の方がインタビューされるというモノで、我々からも見える”本屋さんあるある”からお客さん側からは見えない様々な工夫や苦労を語られていて、このブログの信念を飾るのにふさわしい、本好きにはタマラナイ内容となっています。

 

 矢部さんのご経験の深遠さもさることながら、インタビューをされている杉江さんのアルバイト経験に基づく、時には重箱の隅を突くようなネタがあってこそ、矢部さんの経験を十全に引き出せたんだろうなあ、という気がしますが、ここまで細やかに心配りをしている人は多くないのかも知れませんが、本屋さんってここまでいろいろ考えて店づくりをされているのか!?と驚きます。

 

 単に本を並べるといっても、当然その置き方によって全然売上は異なってくるということもあって、売上を最大化するために、経験に基づく精緻な戦略があるようで、それもベストセラーだけじゃなく、普段はあまり動きのない学術書のような本も含めて、どういう客層を狙って、どういう割合でどのジャンルの本を売るのかという戦略の下、書架や平積みなどの配置を決定されているということで、それを聞いただけでも気が遠くなるような思いがします。

 

  さらには並べる本をどのように仕入れるのかについて、単純に売れた本をそのまま仕入れるという単純なモノではなく、時系列的にどれくらい動いているのかを考えながら、その時点でのベストセラーや人気作家の新刊本の予定なども勘案しながら、自店がスペース的・コスト的な制約を勘案しながら、できる限り売上に貢献できるような在庫構成を考えないといけないということで、何分アイテム数が他業種と比較して群を抜いて多いだけに、難しいところです。

 

 とは言いながらただ単に売上が上がればよいと考えておられるワケではないようで、ご自身の”推し”も交えながら、読書文化の繁栄も念頭に置きながら取り組んでおられるようで、知れば知るほど書店員さんって尊い職業だと再認識できる本でした。