新実存主義/マルクス・ガブリエル

 

 

 最近特にコロナ禍以降、マルクス・ガブリエルという名前を聞くことが多くなったので、どんなことを書かれているんだろうと興味があって、近くの図書館にこの本があったので手に取ってみました。

 

 いやーそれにしてもかなり久しぶりに、ほぼほぼ全くといっていいほど手に負えない本に出くわしてしまいました。

 

 こんな難解な著者がベストセラーになるのか!?とちょっとビックリしてしまいますが、どうやらこの本は割と観念的な内容によっていて一般的では無いようで、よく売れているらしい『全体主義の克服 (集英社新書)』なんかは一般向けだということで、多少は分かりやすいんでしょうか…

 

 多分10%も内容を掬えてはいないのですが、それでも科学の進化でこの世界のかなり多くの部分を説明できると多くの人は思っているはずなのですが、それでも最も身近なはずの人間の思考のメカニズムすら解明できていないじゃないか!?と指摘されていて、そういう科学万能みたいな考え方はすこし言い過ぎなのではないか、というところは何かイタイところを突かれた想いのする人が多いのではないでしょうか…

 

 そういうガブリエルさんの思考というのは、AIに対する考え方にも表れているようで、この本に触れられていることではないのですが、シンギュラリティなんてありえない!と断言されているのは、こういう考え方を窺うと深くナットクできるところではあります。

 

 あまりに難解なのですが、それでも何か惹かれて止まないものがあるのが不思議で、もう少し一般向けの本を探して、改めて読んでみたいと思います。