お姫様は「幕末・明治」をどう生きたのか/河合敦

 

 

 以前紹介した『殿様は「明治」をどう生きたのか』『殿様は「明治」をどう生きたのか2』の続編的な位置づけで、お姫様バージョンがあるということで手に取ってみました。

 

 激動の時代ということで女性も時代に翻弄されることが多かったようで、お姫様たちの激動の人生を追われていますが、やはり幕末の代表的なお姫様というと、大河ドラマの主人公にもなった徳川幕府13代将軍家定夫人の篤姫と、皇室から降嫁された14代将軍夫人の和宮だと思いますが、ちゃんと紹介されています。

 

 やはり佐幕傾向の強い河合センセイだけにお姫様編でも旧幕府側のお姫様を多く取り上げられていて、篤姫和宮を始めとして「最後の将軍」慶喜正室徳川美賀子だけでなく、側室の新村信や中根幸まで紹介されています。

 

 さらには大名でも佐幕藩のお姫様を中心に取り上げられていて、その中でも最大の巨魁とも言える会津藩松平容保夫人の照姫を取り上げられています。

 

 最も時代に翻弄されたといっても過言ではない会津藩だけに、照姫も過酷な運命にさらされたようで、新撰組などで知られる京都時代は同行されなかったようですが、戊辰戦争時には鶴ヶ城で共に戦われたということで、女性たちも落ちた弾薬が爆発する前に濡れた布をかぶせて爆発を防ぐといった作戦に参加していたということで、照姫自身が直接されていたわけではないようですが、先頭に立って奮起を促していたそうです。

 

 時代に翻弄されたお姫様たちの中でも一番印象的だったのが、仙台藩のお姫様だった伊達保子の生き様で、分家の亘理伊達家に嫁がれるのですが、藩の北海道への移転に同行し、先頭に立って過酷な開拓事業に携わられ、「開拓の母」と称されるまでの貢献をされたということです。

 

 平時であれば周囲にかしずかれたはずのお姫様たちが、こういう過酷な人生を歩んだということがもう少し知られてもいいかもしれません。