大阪から日本は変わる/吉村洋文、松井一郎、上山信一

 

 

 大阪府知事の吉村さんと大阪市長の松井さん、橋下府知事時代から長く大阪維新の会のブレーン的な役割を担われている上山さんが、2回目の大阪都構想住民投票を控えた時期に出版された、都構想賛成を促すプロパガンダといった感じの本です。

 

 まあ、正直大阪都構想に賛成してもらうために、橋下さんからの維新の会の功績をアピールするための本なんで、かなりマユにツバをタップリ塗って読んだのですが、ハナシ1/4くらいに聞いたとしても、かなり大きな功績を残されたんだなあと感じます。

 

 橋下府知事以前の大阪府大阪市は互いに激しく反目しており、住民そっちのけで主導権争いに明け暮れた挙句、業務の重複などのムダ遣いを重ね、巨大な財政赤字を抱え大阪市などは財政再建団体一歩手前まで行き、「府市合わせ(ふしあわせ)」と揶揄されていたということを思い出しますが、橋下府知事・市長の下で緊縮策を実行しながら、攻めの財政投入も並行して行い、再生を実現したの見事さはアンチとしても、なかなか否定し難い所でしょう。

 

 そのムダの回避を、仮に維新の会が大阪の施政から退いた後でも継続しようというのが大阪都構想のコンセプトだと思われるのですが、新奇を受けれると思われた大阪の人々にとってもなかなかそこまでの思考の飛躍は受けれ難かったようで、大阪都構想というのが、その後の道州制などへの発展の端緒となる期待もあったので、何とか実現してほしかったという想いがあります。

 

 2回目の住民投票を経ても、残念ながら大阪都構想は成立せず、吉村さんも松井さんも任期終了後に大阪の施政からは離れられるということですが、その後維新以外の首長が就任して、再び「府市合わせ」となってから、「大阪市」が無くなるという情緒的な言い分にダマされて反対票を投じたことにこうかいすることになるんじゃないかなぁ…と老婆心ながら感じさせられました。(笑)