言葉のチカラ/香山リカ

 

 

 精神科医香山リカさんが、ご自身の臨床のご経験なども通して感じられた「言葉にチカラ」について、ネットメディアで連載された内容をまとめた本です。

 

 おそらくある程度以上の年齢を重ねられた人は、ああ、あんなこと言うんじゃなかった、といったような経験をされているでしょうし、コトバというのは極端なハナシ、人を殺すこともできるようなチカラがあることを、多くの人が念頭に置いていることとは思います。

 

 特に精神科医はコトバ自体が治療の重要なツールであり、かなり患者さんに話されるコトバ選びには神経を遣われているということで、そういう細かなコトバ遣いの違いが及ぼす影響について語られています。(まあ、その割に著書などでは、たびたびキワドイことをおっしゃって炎上を起こしているような気もするのですが、患者さんに話されるのに比べると、神経の遣い方のレベルが違うのか、普段の臨床の鬱憤晴らしにされているのか…(笑))

 

 例えば、「それ”で”いいよ!」と言うのと「それ”が”いいよ!」というのでは、受け取り方によっては真逆の印象で受け取られかねないことや、「あなたのことが好きです!」というのと、「ラーメンが好きです。」というのでは、同じ「好き」でも全然込められている意味や重みが異なっており、そういうシチュエーションや言い回しで、相手を不機嫌にしたり、カンドーさせたりと言う風に、天国と地獄くらい相手の印象の差を生み出す可能性があり、コトバを発するという日常の所作も、相当な気配りが必要なんだということを、こういう本を読んでキモに銘じておいた方が身のためなのかも知れません…(笑)