脳梗塞日誌/日垣隆

 

 

 ひと頃かなり熱心に日垣さんの本を読み漁った時期があったのですが、そういえば最近あまり出版の情報を聞かないなぁ、と思ったら図書館でこの本を見つけてビックリした次第で、早速手に取ってみました。

 

 2015年にゴルフに出かけようとして倒れられたということで、その時点から3カ月にわたる過酷なリハビリを、日垣さんなりのテレもあるのか、かなりコミカルに描かれていますが、かなり重度の症状だったようで、何度か死線をさまようような状況もあったようです。

 

 倒れられた当初は、意識はしっかり残っているのですが全くカラダが動かない状態だったらしく、意識は残っているの言いながらも、病気の性格上、経緯を覚えているのがかなり難しいようで、あまり麻痺しているという自覚が薄いという特徴もあるようです。

 

 ということもあって、しかもフツーに聞いたり読めたりするので、自覚は薄いようなのですが、話したり書いたりすることにかなりの問題があるらしく、本人はちゃんと話しているつもりでも、全くコトバの体を成していなかったり、多少話せるようになったとしても、なかなか脈絡のあるハナシをするのは難しいようで、コトバを商売にしている日垣さんとしてはなかなか致命的だと自覚されたようで、キチンと自分の置かれている状態を認識して、一つ一つ取り戻そうとされていたようです。

 

 そういう状況の中で、「タケノコ」というコトバを思い出せないような状況でありながら、この本に書かれている病状のレポートのベースとなるメルマガの発信は続けられていたというところは、ご本人も触れられていますが、かなり脳梗塞の患者の今後のサンプルとして研究対象として詳細に分析の対象とすべきな程の稀有な事例に当たりそうです。

 

 また、そんな病状の中でも再発防止手術を拒否して理不尽な対応を押し付けようとする都立病院をキッパリとはねつけて転院するところなどは、日垣さんの日常運転で、その精神力の強さに驚嘆するばかりです。

 

 ここまでの病状でここまでの回復をできるのはなかなか無さそうなことで、誰にでもマネができることでは無いとは思うのですが、是非とも日垣さんの闘いが広く知られるようになって、患者さんに希望を持てるようにして欲しいものです。