いま、子どもたちに伝えたいこと/原田隆史

 

 

 20年間教師をされたのちに、現在は社会人も対象に自己実現についての指導をされていて、メジャーリーグでMVPを獲得した大谷翔平選手が高校生の時に目標設定をしたシートを開発したことで知られる方が、子どもたちの自立を促すための“仕組み”について紹介された本です。

 

 著者である原田さんは、20年間の教師生活の間、陸上部の指導者として度々全国大会に送り出すと共に、荒れた高校の立て直しも手掛けられたということで、伝説的な指導者として知られているとのことです。

 

 そういう経験を踏まえて、現在は自己実現についての啓蒙活動をされているということですが、自己実現をしようとする中で子どものうちから自立的な姿勢を持つことが重要で、そのためには家庭での取り組みが必須だということで、その考え方や方法論を紹介されています。

 

 その考え方は、ご自身が育った環境も大きく影響しているようで、お父様が警察官で割と厳格な家庭だったようですが、だからと言って原田さんに何かを無理強いするようなことは無く、何か自分でキッカケをつかむことを粘り強く「待つ」姿勢だったということで、かつなにか背中を押すような感じだったということで、「待つ」ことと「背中を押す」ということが子どもの自立のために必要なようです。

 

 この本が出版されたのが2010年で、今と比べると親の主導権が強い時期だったと思いますが、逆に今は子どもの顔色を窺うようなところが多いような気がしますが、やはり親としては、子どもに何らかの影響力を持つことが重要なようで、その上で本人の気づきを「待っ」て自分で何かを決めさせるということが理想的なようです。