本当に君は総理大臣になれないのか/小川淳也、中原一歩

 

 

 『なぜ君は総理大臣になれないのか』というドキュメンタリー映画で取り上げられたことで話題になり、2021年衆議院選挙での大敗を受けて辞任した枝野代表の公認を決める立憲民主党の代表選挙にも出馬したことで知られる小川淳也氏の政治信条についてのインタビューと経歴を紹介する内容で構成された本です。

 

 ワタクシは多少政治に興味があることもあって、野党議員もある程度は知っているのですが、この方についてはドキュメンタリー映画で取り上げられたことしか知らなくて、総務官僚から政治家になったことも初めて知りました。

 

 なんでこういう知名度の低い人がドキュメンタリー映画で取り上げられるのか不思議な気もしていたのですが、2014年には自身の国家観や政策に関する著書を出版されていて、民主党希望の党立憲民主党と渡り歩く間に若手議員の間で党の将来を担うべき人材として知る人ぞ知る存在だったようです。

 

 この本でもご自身のマニュフェストではないですが、総理大臣になった時に実現したい政策を提示されていて、反対だけしている政党というイメージが固定化してしまった立憲民主党に中で、一定の国家観というか全体像を持った政策を掲げて活動をされている政治家がいたことに少しオドロキがあります。

 

 一応、そういうWhatだけでなく、如何にして実現させるかというHowについてのインタビューもあって、2020年代には総理大臣となって政策を実現して行く青写真について語られているワケですが、とりあえず立憲民主党の党首になることすらあまり現実感の無いようにも思え、それ以上に代表の代替わり後、著しく発信力が減退し、今年の参議院選挙の結果によっては存亡の危機にさらされかねない状況で絵空事にしか聞こえなくなってしまっていることが、ベーシックインカムの導入を視野に入れるなどかなり斬新な国家観をお持ちなだけに残念な気もします。

 

 いっそのこと小川さんの政策を前面に出して、心中覚悟で世に問うてみればいいのに…という気もしましたが、そういう風にはならないんでしょうねぇ…