逆立ち日本論/養老孟司、内田樹

 

 

 先日紹介した『里山資本主義』の藻谷浩介さんとの対談本である『日本の大問題』を始めとして卓越した文明論でも知られる養老先生が『日本辺境論』の内田樹さんとこういうタイトルで対談されるということで色めきだって手に取ってみたワケですが…

 

 お二方はある会社の社内報の一記事の対談で初めて同席されて、最初から波長が合ったということで、この本でもかなり息の合った対談が展開されいて、逆にあまりに合い過ぎてかなり取り止めのない話になってしまっているという側面があり、確かにこういうタイトルをつけようと思えば、そういう内容のことを断片的には語られているので、カンバンに偽りありとは言い切れないのは確かなのですが、ワタクシのようにタイトルに勝手な期待を抱いてハードルを上げてしまった立場はどうしてくれるんだ!?というやり場ない想いを抱かされてしまいます。

 

 ただ、日本を代表する知性であるお二方の対談は、断片的にはかなり興味深い論点が多く、例えば日本という国はペリーの来航以来一貫して反米だということで、知識階級にとってはアメリカに批判的な意見を述べていればカッコがつくという論など、本質を貫くコメントも多いだけに、しっかりとした企画の下で、お二方がガップリ四つに組んだような対談になっていたら、どんな素晴らしいモノになったのかと思うと、やはり残念な想いが禁じ得ないところです…