挑戦/山中伸弥、藤井聡太

 

 

 iPS細胞の山中先生が将棋の藤井五冠と対談される本があると知って、どんなモノができるんだろうと楽しみにして手に取ってみました。

 

 まあ、結論から言うと肩透かし感ハンパないザンネンなモノになってしまっていますが、多分お二方にはあんまり責任は無くて、ほぼほぼ内容を丸投げにしたとしか思えない編集者の安易な姿勢が、せっかくの顔合わせを台無しにしているとしか思えません。

 

 この本の出版が2021年12月だということなので、対談自体は2021年のコロナ禍の中でリモートも交えて対談されたということで、年齢やご経験から言って、ついつい山中先生が話し過ぎて、自分ばかり話してました…と反省する場面が何度も散見されて、遠慮がちな藤井五冠のコメントを引き出そうとされる場面もあるのですが、あまり噛み合ったシーンが見られません。

 

 そんな中でもAIの活用の方向性や脳の機能といった、お二方の専門性が重なる分野では、説明責任などのAIの限界みたいなことへの言及など、かなり興味深いご意見が出てくる場面もあり、お二方の得意分野をキッチリと把握した上で、トピックをしっかり練った企画をすれば、どんなに興味深い本ができたかと思うと残念でなりません。

 

 本の企画と言うのはホントに難しいモノですねぇ…