沢木耕太郎 ロングインタビューで素顔に迫る/日垣隆

 

 

 昨日紹介した『脳卒中からの帰還』をAmazonKindleストアで購入した際に、一覧に並んでいたのを見て、速攻購入してしまいました…

 

 紙媒体に換算するとわずか30ページ程度のモノで450円ということで、多少のグチも無くはないのですが、あの日垣さんが沢木さんに迫るという期待に抗うことができませんでした。

 

 このインタビューがあったのが2013年で、『檀 (新潮文庫)』を脱稿された時期だったということなのですが、テーマとしては沢木さんのキャリアや著作へのアプローチなど、ボリュームの割には様々なテーマをカバーされています。

 

 割と社会的なテーマを選択される日垣さんに対して、社会の片隅で息づくような人々を取り上げることの多い沢木さんですが、取材といいつつも書籍にしようという意図も希薄なまま取材対象と触れあい、温めてなにか自然に作品への昇華させていくといった感じのアプローチが印象的です。

 

 個人的に一番うれしかったのは、沢木さんがデビュー当初に出入りされていて、ルポライターとしての基本を叩き込みつつ、まだまだ何者でもなかった沢木さんを引き立てて、大成の基盤づくりに多大な寄与を果たした『調査報道』誌の編集者との交流で、未だに折に触れて沢木さんがそのことを振り返られることからも、その影響力の大きさを感じさせます。

 

 インタビューが重要な生業でありながら、インタビューされるのは好きではないという沢木さんに食らいついてはおられますが、返す返すもボリュームの少なさが残念で、お二方共通の関心であるバカラについても触れられているのですが、ホンのサワリ程度で、お二方のバカラ必勝法についての対談が深められていたらと思うと、是非是非再度書籍のボリュームでのインタビュー本を期待したいところです!