予備校の日本史講師を長く務められた方が書かれた、日本史の「学び直し」本です。
メインターゲットとしては学生時代理系で日本史を履修しなかった人が、海外の人と交流する上で多少は日本史の知識が無いとマズいな、と感じて手っ取り早くザックリとした流れをつかめるようなモノということで書かれたということだそうです。
ということで、紙幅も256ページでごくごく最近の近代史までカバーしているということもあり、歴史好きの人からするとかなり内容はウスく感じるところも無きにしも非ずなのですが、「ストーリー」に主眼を置いているからか、流れとしての理解がしやすいモノになっています。
また、時折個別の事象についてかなりユニークな解釈を加えている部分も多々見られて、かなり興味深いモノとなっています。
例えば、古墳はただ権力を誇示するためだけに作ったモノというワケではなく、田畑の造成で生み出された土砂の始末のために作られたという側面があるということや、江戸時代の大名の参勤交代は、ただただ大名を窮迫させようとするモノではなく、軍事パレードとしての側面があったことなど、そこそこ歴史に興味があるワタクシもあまり聞いたことが無い説でありながら、それなりのナットク感も感じさせる興味深いモノとなっています。
そういうこともあって、割と基本的な内容をザッと駆け足で語りながらも、ある程度歴史に知識と興味がある人にも、それなりの読みごたえが感じられるモノとなっています。