レジリエンスで心が折れない自分になる/久世浩司

 

 

 個人的には、サッカー日本代表キャプテンでDFの要である吉田麻也選手がイングランドプレミアリーグでプレーされていた時期に英国で出版された自伝的な著書『レジリエンス』のタイトルとして認識していますが、昨今心理学において注目されている概念だということで、その基本的な内容と、レジリエンスの考え方を取り入れることでパフォーマンスを向上させるコツについて紹介されています。

 

 レジリエンスというのは元々、環境変化に対する生態系の「復元力」を示すコトバだったそうなのですが、現代心理学においては「逆境やトラブル、強いストレスなどに直面したとき、それらに適応できる精神力と心理的プロセス」と定義されるということで、逆境に面しても「立ち直れる力」を手に入れるための方法論としても注目されているようです。

 

 似て非なる概念として「ポジティブシンキング」をの差異を紹介されていますが、必ずしもレジリエンスを手に入れるためにプラス思考が必要なワケではなく、失敗をしたとしてもそれを謙虚に受け入れて教訓とし、今後の人生に役立てるという姿勢が求められるようです。

 

 そんな中で失敗も何らかの教訓になるんだということで、失敗を恐れずに積極的に様々な経験にトライして、経験値を重ねようとすることが必要なようで、失敗しても「無力感」にとらわれることなく、次々と積極的なトライの重要性を説かれています。

 

 とはいっても失敗ばかりではヘコんでしまうので、小さな成功体験を積み上げることで自尊心を強化しておくとか、失敗した時のフォローがしてもらえるような周囲の人々との信頼関係を構築しておくとか、セーフティネット的な考え方も紹介されていて、徐々に「レジリエンス」を強化して行けるような実践的な方法論が詳細かつシンプルに紹介されていて参考になります。

 

 個人的には、どちらかというとヘタレであまりメンタルが強くない自覚があるので、こういうムリの少ないメンタル強化論というのはありがたい気がします…(笑)