海外メディアは見た不思議の国ニッポン/クーリエ・ジャポン編

 

 

 海外メディアで報道された情報を日本語で紹介するニュースサイトでの報道内容の中で、海外の人から見て不思議に思える日本のことを紹介した記事を集めた本です。

 

 女性の地位が低いとか、労働生産性の低さとか、日本のメディアでも取り上げられていて、“あるある”な情報も多いのですが、「日本ではなぜポピュリズムが台頭しないのか」という日本人からするとちょっと意外なトピックも取り上げられていたり、自殺率の高さのような“あるある”な情報であっても、セーフティネットの欠如といった外国人ならではの視点もあったりと、そういう見方をされているもんだ!?とかなり興味深い内容となっている。

 

 その中でも一番興味深かったのが天皇制に関する内容で、昭和天皇上皇陛下の姿勢の違いなど、日本人にとってはかなり意外な見方をされているのに驚きます。

 

 というのも、日本人の多くは昭和天皇は不承不承、太平洋戦争の開戦を認可したとされていますが、この記事を書かれている英国のメディアではある程度積極的に開戦に関わっていたという傍証を示されていて、戦後の「人間宣言」以降も伝統的な王家としての姿勢を示されていたとされているのに対し、上皇陛下が皇室の存続にかなりの危機感を抱かれて、その行く末と維持のための方向性の模索に葛藤があったことを紹介されており、煩悶の末、国民に寄り添うというスタイルを確立させたということが伺えます。

 

 また、上皇后陛下や皇后陛下が皇室に嫁がれてからの皇室の伝統との軋轢とプレッシャーやバッシングと、眞子様の降嫁の折りの軋轢について触れられており、日本全体の家父長的な家族観が皇室と国民の関係に大きな影響を及ぼしていることを紹介されています。

 

 ある意味、日本語メディアが報道している内容よりずっと日本について考えさせられる内容であり、より日本について理解できると思える本ですので、是非一読されては!?と思います。