龍馬の家計簿/大村大次郎

 

 

 『あらゆる領収書は経費で落とせる』など徴税側からみた節税のノウハウに関する多くの著書で知られる元国税調査官の大村さんですが、趣味の延長で『お金の流れで読む日本の歴史』を始めとする、歴史をおカネに纏わる側面から見ることで斬新な観点を提供する著書も何冊か出版されていて、この本は坂本龍馬の生涯をおカネにまつわる側面から見ることで、より等身大の姿を明らかにしようという主旨のモノです。

 

 元々龍馬の実家は裕福な商家の分家ということで割とおカネには不自由しない境遇だったようですが、脱藩してしまうと実家からの支援がなくなるワケで、そういう中でどうやっておカネの工面をしていたかということから話は始まります。

 

 ただ、長州藩の白石正二郎を代表的な存在ちsて、当時は割と志士に対して支援をしようとする義侠の商人なども少なからずいたようで、龍馬もそういう支援を受けることはあったようですが、勝海舟の海軍操練所での経験以降、軍艦の操船技術などを活用してある程度の収入はあったようです。

 

 志士として名を馳せるようになると、松平春嶽などの大名からの活動資金の”出資”などもあったようで、十分ではないもののそれなりの資金を融通できるようになってきたようです。

 

 その後、日本初の株式会社と言われる亀山社中の運営を始めると、長崎の英国商人や薩摩藩と武器を手に入れたい各藩との仲介などをてがけていたということですが、あまり仲介の手数料を取るという発想が無かったらしく、そこでの収入はほとんどなかったというのが、今の観点からすると意外です。

 

 ただ、土佐藩との取引では、ちゃっかりと中抜きをしていたりして、そういった資金を元手に志士としての活動が可能となっていたようで、大村さんは割と龍馬の役割は大きかったんじゃないかという説を取られています。

 

 ということで、おカネを通して歴史上の人物の活動を見て見ると、ゴマカシが効きにくいこともあって、割とプレーンな見方が可能だということを龍馬の生涯をみることで証明しており、こういう観点での書籍が続くことを来したいところです。