ヤマザキマリの人生談義

 

 

 『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家のヤマザキマリによる、毎日新聞に連載された『人生相談』をまとめた本です。

 

 このブログでも『仕事にしばられない生き方』などの自伝的な著書を紹介しましたが、ヤマザキさんは若くしてイタリアに渡るなどかなり壮絶な人生を歩んでこられたということで、そのヤマザキさんがどういう回答をするのかというのは、なかなか興味をそそるところです。

 

 ありがちな「人生相談」とは少し趣が違って、かなり一本筋が通っているような気がするのですが、その印象というのはヤマザキさんが一貫して個人の尊厳みたいなものに主眼を置いているように思えるのがその理由なのかも知れません。

 

 人間関係だったり、人生の目標を見失ったりといったありがちなテーマが並ぶワケですが、基本的にヤマザキさんは「他人を変えることはできない」ということを再三おっしゃっておられて、変えられないモノについて悩むのはバカバカしいということで、可能な限り目を逸らすことを勧められます。

 

 同時に自分自身の尊厳を保つための方策として、できる限り自分の価値観に忠実に生きていくことを強調されており、世間体だったり、体面や他人の目といったモノに惑わされずに自身の欲求を見据えて、それに沿った選択をすることで、ナットク感の高い生き方をできるということを再三示唆されています。

 

 皆が皆、ヤマザキさんのような力強い生き方ができるワケでは無いとは思いますが、後悔のない生き方をするためには、こういう考え方をアタマの片隅に置いておいた方が良いような気がします。