マーケティングに使える「家計調査」/吉本佳生

 

 

 『スタバではグランデを買え!』で知られるエコノミストの吉本佳生さんが『家計調査』を紐解くことによって、マーケティングのネタを探り当てる方法論について語られた本です。

 

 『家計調査』自体にはあまり馴染みが無くても、それを元にはじき出される、餃子の消費量日本一といったトピックは聞いたことがある人が多いと思われるのですが、そもそも『家計調査』というのは総務省統計局が取りまとめた都道府県の県庁所在都市の消費動向についての統計で、諸外国に比べてかなり詳細な統計を取られていて、特に食に関する内容については地域ごとの食の嗜好の傾向をうかがい知れるほど、細かい項目の消費状況を記録しており、それを元にかなり有効なマーケティングを策定できるポテンシャルのある宝箱のようなモノなんだそうです。

 

 特に、ただ単によく売れているかどうかだけではなく、他の地域と比較して多くのおカネをあるアイテムに支出しているといったデータは、効果的に売上を上げていく上でのターゲティングの元ネタとすることも考えられ、利益率向上に資する重要なデータとなり得ることを紹介されています。

 

 また、エンゲル係数についての「常識」を覆すような現象や、バーゲンによってかえって客単価を上げることができるようなメカニズムだったり、食パンのような消費財であっても「値上げ」で売上を向上させる方策など、消費に纏わるちょっと意外な現象についても紹介されていて、経済のカラクリを手軽に知りたい向きにも興味深い内容となっています。