子の無い人生/酒井順子

 

 

 最近ビミョーにマイブームで、著者ループモードに入っている『負け犬の遠吠え』の酒井さんの2016年出版の著書です。

 

 酒井さんが『負け犬の遠吠え』を出版された際に「負け犬」の定義として「未婚、子ナシ、三十代以上」と書かれていたのについて、既婚で子どもがいない方に「自分は負け犬ではないんでしょうか!?」と聞かれることが多かったということについて触れられています。

 

 当時の酒井さんは、ダンナさんがいるんだからいいじゃないですか!?的なリアクションだったようなのですが、ふと考え直してみて、既婚で子どもの無い方の葛藤について思いを致すことがあったようで、十数年経ってからこの本を執筆されたようで、巻末には「子ナシ」の代表格として、安倍元首相の昭恵夫人との対談まで収録されています!

 

 まあ、既婚者だけでなく、未婚も含めてということなのですが、オンナの人にとって結婚しなくても子どもは…と思う方も少なからずおられるようなので、この本を読んでいるとオトコのワタクシとしては意識できていなかったのですが、オンナの人たちにとって未婚であることよりも、子どもがいないことの方に大きな問題意識を持つ人が多いんじゃないかということに驚きます。

 

 確かに三十歳代位だと、女性にとっては子どもがいるかいないかで行動様式がまるで変ってしまい、それまで親友だった人と疎遠になるなど、かなり人生に及ぼす影響が大きいことは、言われてみれば自明であり、そういうことに鈍感であることの多い、パートナーである男性が地雷を踏んでしまうことが多々あることは容易に想像できそうです。

 

 また、シングルの女性だと自分の看取りをどうするのかということを考える場面もあるようで、まあ、そのために子供を持つワケではないのかも知れませんが、かなり長いスパンでも子どもがいないことの影響を考えておられるようです。

 

 そんなワケで、四十歳代後半くらいになって自分が子どもを産む可能性が小さくなった女性が養子をとろうとすることが多いというのはそういう意味もあったんだなあ、ということも悟らされる深いモノでした。