イギリス発日本人が知らないニッポン/緑ゆうこ

 

 

 このブログでは一旦何らかのトピックにハマると、類似性の強い本を連続して紹介することが多いような気がするのですが、昨日に引き続き比較文化論的な内容の本です。

 

 この本は2004年に出版された本なのですが、イギリス在住の著者が2000年位からイギリスにおいて日本について報道されている記事を紹介されています。

 

 イギリスでは、最初に日本人がイギリスを訪れた時の印象の強烈さが続いているのか、芸者を題材にした”Madam Butterly”が演劇として脈々と上演されているように、割とサムライや芸者にこの本が出版された2004年当時においても芸者について報道されることが多いということは多少意外でもあったのですが、それ以上に意外だったのが、未だに第二次世界大戦での戦闘について、日本が降伏した8月15日に近い週末に毎年対日戦勝記念日VJデーとして祝われていて、在英日本人が肩身の狭い想いをされているということです。

 

 さらには、日本人の残虐性を思わせる事件が発生した際に、第二次世界大戦時の日本軍の行状と関連付けた報道をされることが通例となっているようで、少なくともイギリスにおいては、日本人が思っている「平和を望む国民性」というイメージは皆無だということです。

 

 さらには女性の人権蹂躙や、日本企業の跳梁跋扈など、日本を敵視するような事象の方が記事として取り上げられやすいようで、日本人が英国に対して持っているイメージとは真逆とも言えるような悪いイメージが定着しているようで、稀に宮崎駿のアニメ作品を称賛するような記事もあるようですが、どちらかというと無国籍的なイメージのつしょいアニメの世界だからということもあるようで、この本の出版から20年程度の時が経っているとはいえ、イメージの劇的な好転が図られているとは思い難く、日本で報道されているような世界の日本礼賛というのは実は幻影にすぎないのかも知れないと思わされたモノでした…