予備校講師の茂木さんが、日米関係史の研究家である渡辺さんの著書に感銘を受けて、知識偏重の受験のための学習を超えた観点を養うための近現代史を語られた対談本ということで企画されたようです。
タイトルで「教科書に書けない」とありますが、対談を主導されている渡辺さんが日米関係史の研究家であり、かつアメリカ在住でありながら、かなり反米的なスタンスをベースにされているように伺えることもあって、これは今の日本では教科書には載せれないでしょ!?という意味だったのか、という感じです。
この本ではペリーの来航から現代に至るまでの日米関係を軸に近現代史を語るというカタチになっていて、近現代においては覇権国の財界が歴史を動かすというのが大本の史観となっているようで、確かにそういう風に考えると説明がつくことが多いんだなぁ、とこの本を読んでいるとナットクできるところがあります。
アメリカは日本の開国を促した時点で、帝国主義的な覇権争いでヨーロッパ諸国の後塵を拝していたため、日本をテコに東アジアにおける主導権を握ろうということで、当初は日本が英国の術中にハマらないように支援していたということですが、次第に利害が対立するようになって、太平洋戦争に至ったというのが、かなりざっくりした歴史の流れだということなのですが、そういう理解をするとかなり細かな知識もアタマに入りやすくなるような気もします。
そういう歴史観の中で、割と日本人は外交を好意・悪意で捉える向きがあるようですが、国家としての外交の行動は徹頭徹尾損得勘定で動いており、一時点で好意的に見える動きも、利害が対立すれば真逆のことになってしまうということを、いまいち日本人は理解できていなことを嘆いておられ、国連や国際法を絶対視してしまうお花畑的な世界観は日本人の決定的な不利をもたらしかねないことを懸念されています。
渡辺さんはトランプ政権をかなり高く評価されているなど、日本人的に言うとかなり異端な考え方をお持ちなのですが、こういうことも含めて「史観」を評価できるような観点を多くの日本人が持つようにならないと、いつまでもお花畑な世界観から逃れられないような気がします。