新説の日本史/河内春人、亀田俊和他

 

 

 昨今は日本史の研究の推移が激しく、教科書に掲載されているようなド・定説であっても改編時に撤回されるような事態が頻発しているようですが、2021年時点での最新の研究に基づいた「新説」を各時代の代表的な研究者により紹介された本で、先日『攘夷の幕末史』を紹介した町田明広さんや『観応の擾乱』でヒットを飛ばされた亀田俊和さんが執筆陣に加わられています。

 

 平安時代の国風文化がホントに存在したのか!?とか日米通商修好条約が必ずしも”不平等”条約じゃなかった!?とか、数十年前に日本史を学んだワタクシからすると真逆の説もあるのですが、新たな史料が見つかって旧来の定説が覆されたというよりも、押しなべて研究者のその時点の感覚に基づいた思いこみだったり、権威のある研究者が唱えた説だったりとか、とある事象を過剰に大きく捉えてしまったといった、”誤解”に基づく判断が”定説”となってしまったということが多いようで、この本の執筆陣のような若手の柔軟な研究が契機になって、異端とされる説が見なおされることが多くなっているようです。

 

 最近は自称学界の異端児・本郷センセイが『歴史をなぜ学ぶのか』で語られているような柔軟な思考の歴史学者がヒットを飛ばすなど、かなり自由な空気が広がっているようで、そういった空気が日本史学界の進展につながるといいのですが…