学校ってなんだ!/工藤勇一、鴻上尚史

 

 

 千代田区立麴町中学校の校長に就任以来、校則や宿題、定期テストを全廃するなど画期的な改革を実施し、その取組みを『学校の「当たり前」をやめた』などの著書で紹介されていた工藤先生の著書を、『「空気」を読んでも従わない』など同調圧力に関する著書を何冊か出版されている鴻上さんが読み漁って感銘を受け、ご自身がMCを務めるNHKBSの外国人に日本の文化を評価してもらう『Cool Japan』で工藤先生の取組を紹介された後も、工藤先生の考えをより深く知りたいということで、面識のなかった工藤先生にMessenger経由でコンタクトを取ってから1週間も経たずに出版社まで決めてしまったということです。

 

 鴻上さん自身も学生時代に理不尽と思える校則にギモンを抱き、地域の生徒会幹部と連携して無意味な校則を見なおすように促す運動をされていたということです。

 

 ましてや昨今は生徒の自律性を重んじる教育方針が新たな綱領で謳われているにも関わらず、「中学生らしく」「高校生らしく」といったセンセイ自身も根拠を説明することのできない校則を押し付けるという論理矛盾をヘーキでしてしまっているということで、より病巣が深くなっているということです。

 

 結局は校則はこれだ!と押し付けるのはある程度先生に取ってラクだからという側面があるからだということもあって、工藤先生のように生徒との信頼関係を築いてから自分の言うことを聞いてもらえるようにするというプロセスをすっ飛ばしてしまっているということに他ならないようです。

 

 工藤先生は、生徒の生命にかかわることや犯罪に手を染めるようなこと以外は規制すべきではないと考えられていて、その代わり自分がしたことによる責任は自分で取れよ!ということで、工藤先生自身が育てたいと思っている自立した人間を育成するという目的から考えても整合性のある方策だとおっしゃいます。

 

 最近は生徒の側からも「ブラック校則」に反発して、自分たちに考えさせてほしいといった動きも出てきているようで、工藤先生や鴻上さんが考えておられる自分で自分の問題を解決できる生徒たちが育ってきているように見えるのに望みを感じますし、間違ってもそういう生徒たちを理不尽にチカラで押さえつけようとすることだけは避けて欲しいところです。