世界史の考え方/小川幸司、成田龍一編

 

 

 今年から高校の歴史のカリキュラムに18世紀以降の歴史を世界史、日本史を一体化して学ぼうという「歴史総合」という科目が創設され、高校1年生の必修科目となったようで、ウチの次女も履修させられているということで、単元テストの問題を見せてもらったのですが、「18世紀の日本と世界のつながりについて述べよ」みたいな論述問題が2問出されていて、いきなりこんな出題形式になってしまったら、生徒はモチロンですが、センセイもいろいろ大変だろうなぁ、と文科省の無責任なムチャ振りに呆れている次第です。

 

 ということでこの本は「歴史総合を学ぶ」と題して、「歴史総合」が始まったことを受けた岩波新書赤版のシリーズ物のようで、世界史の方面から「歴史総合」への期待を語るといった感じのモノのようです。

 

 そもそも「歴史総合」では、

  「A.歴史の扉」

  「B.近代化と私たち」

  「C.国際秩序の変化や大衆化と私たち」

  「D.グローバル化と私たち

というカリキュラム構成となっているとのことで、この本はそれに合わせた副読本を提示するというカタチで構成されるのですが…

 

 確かに従来の歴史科目の暗記偏重の弊害や、グローバリズムの進展に伴いかつての覇権国である米英中心の史観に基づいて学ぶ有効性が低下しているとはいえ、いきなりマルクス主義に基づく史観を持ち出されたり、アフリカから見た史観なんて言われた日にゃ、そんなことをどうやって高校で教えるんですか?と思うのですが、編者の一人の小川氏は高校の校長先生なんだそうで、こんな偏狭な校長のいる学校に通う生徒はたまったもんじゃないですね…

 

 こういうアタマの中にカビが生えたような本しか作らないのは、まあ岩波新書だったらこんなもんかなとも思いますが、歴史学者がこんなことばっかり言いたがるからどんどん歴史を学ぶ意欲が低下して行くんじゃないかと思います。

 

 こんな重箱の隅を突くようなことが、まかり間違って採用されてしまったら「レイシ総合」の行く末も思いやられます。