おっさんの掟/谷口真由美

 

 

 TBSのよく物議を醸すことで知られる『サンデーモーニング』のコメンテーターとして時折出演され、ラグビー好きの「大阪のおばちゃん」としてのキャラを押し出している法学者の谷口真由美さんが日本ラグビー協会の理事として内部から見られた日本ラグビー協会の閉鎖性を暴露した本です。

 

 もともと谷口さんはお父さまが近鉄でプレーされていて、お父さまが近鉄の寮長をされていた際に、当時花園ラグビー場のあった近鉄ラグビーチームの寮で6~16歳まで育ったということで「花園で育った女」を自認されているということで、ラグビー界に知己も多かったということで、日本ラグビー協会スポーツ庁の女性理事40%以上との要件を満たすようにということもあって、理事への就任を要請されたとのことです。

 

 日本ラグビー協会は、以前プロ野球DeNA元社長で、球団経営の改革を成功させたことで知られるの池田純氏を、2019年のW杯開催に向けてのファン層拡大の施策主導を期待して招聘したモノの、あまりの閉鎖性に池田氏としても何の行動も満足に実施することができずに辞任せざるを得なくなったことでも知られますが、未だその体質は健在なようです。

 

 谷口氏在任中に国内リーグのプロ化が進められていて、そのプロジェクトを、早稲田大学の黄金期を築いた元監督の清宮克幸副会長が主導されていたのですが、やれ代表経験のない選手がエラそうなことを言うな!みたいな”圧”がかかって、結局は主導的な立場から外されるのですが、後を受けた谷口さんも「ラグビーをやったことも無いクセに!」やら「女のクセに!」みたいに足を引っ張られ、挙句の果てに黒幕の森名誉会長が協会の女性理事をあてこすって、女性のいる組織は会議が長くなって…的な発言で東京五輪組織委員会の会長の辞任に追い込まれるといった体たらくです。

 

 結局谷口さんは、リーグワンのカテゴリー分けで、客観的な基準を以って実施しようとしたところ、トヨタを2部として近鉄を1部としたことにトヨタから協会への圧力があったようで、それを契機に辞任に追いやられ、辞任時にはご丁寧に他言無用の内容証明郵便まで届いたようですが、谷口さん自身法学者としての正義もあり黙っていれなくて、この本の出版につながったようです。

 

 ラグビーグローバル化が強く要請されている中で、こういう旧態依然な「おっさん」が跋扈する組織では、到底強化や繁栄は覚束ない所で、こういう本をキッカケにそういう体質に対する批判が広がって、よりオープンな組織になって行けばいいんですけどねぇ…