先日紹介した、”オバマケア”の導入に向けた混乱について取り上げた『沈みゆく大国アメリカ』の続編で、オバマケア導入後の状況と、正編で予告されていたように、ウォール街の魔の手が日本の医療にも向かいつつある状況を取り上げた本です。
オバマケアその後ですが、正編における堤さんの取材の制度があまりに高すぎて、ほぼほぼ正編で語られた通りにコトが進んで行っているようなので、かなりの部分が正編で語られた内容と被るのが皮肉ではありますが、かなり多くの人々がオバマケアの導入によって、保険料支出が増加したことや、結局加入しないことで課される罰金を払った方が保険料を払うより負担が少ないということで、結局大病をすると破産に向かうという状況は変わらず、混迷を深めるだけということで、トランプ政権で廃止されてよかったのかも知れません…堤さんが、その後についても追ってくれているのを見たいところですね!?
で、興味深いのはサブタイトルにも触れられている、アメリカの医療業界が日本に魔の手を伸ばしているという話ですが、徐々にではありますが、確実に医療保険や医薬の部門で勢力を広めつつあるようで、アメリカからの圧力に弱い日本政界に対して協力がロビー活動を繰り広げ、着々と侵略を進めているようです。
このままなし崩しに世界が羨む「国民皆保険制度」を形骸化させるところまで行ってしまうのか気になるところですが、その辺りについてオバマケア導入時に取材した医師が「無知は弱さになる」と語られたことについて繰り返し言及されており、如何に我々が大事なモノを失おうとしているのかということについて、もっと知らなければならないということを強調されています。
ただ日本においては、アメリカが医療を効率重視の商品化につき進んで行ったのに対して、日本では「協同化」を進める向きがあることを紹介しておられ、地域医療の拠点が食生活の改善指導などの予防医療の啓蒙を展開することで医療の逼迫状況を回避するような取組を紹介されていて、そういう方向性で医療の改革が進んで行って欲しいものです。
