20歳の自分に教えたい現代史のきほん/池上彰

 

 

 ここのところ別の池上さんのプチ著者ループモードでしたが、今日は「いい質問ですね!」のいつもの池上さんです。

 

 最近池上さんはSB新書から『20歳の自分に教えたいお金のきほん』からのこの本ということで、「20歳の自分に教えたい○○のきほん」で大学生世代に向けた基本的な知識のシリーズ化を図られているようです。

 

 で、今回のテーマは「現代史」なんですが、体系的に現代史の知識をつけようというモノではなく、ウクライナ侵攻や米中の軋轢、北朝鮮の暴走など現在の我々を取り巻く情勢の背景や経緯を理解するといった主旨の内容で、「池上彰のニュースそうだったのか!!」という番組の放送内容をベースに執筆されたモノなんだそうです。

 

 ウクライナ侵攻にしても、冷戦世代の我々からすると、元々ソ連時代はウクライナも含まれていたので、半分くらいロシア人がウクライナを自分の国みたいに思っているんじゃないかということに想像がつくワケですが、若い人はそういう感覚はないでしょうから、そういう経緯は大事よね!?と思っていたら、元々ロシアもキエフ公国から来ているんだったのね!?というようなエピソードが出てくるところが池上さんらしいところです。

 

 また、米中対立を理解する上でも、改めて冷戦構造を知っておく必要があるということで、米中対立の冷戦時との相似と、グローバル化が進んだ現在との相違を通して、状況を理解することが、今後の推移を見通すヒントになるようです。

 

 ということで、”知の怪人”佐藤優さんが語られると高尚というか、多少難解な部分がある情勢を知るための情報収集や考え方が、かなりプレーンにわかりやすく一定のレベルまでは行けることを示されていて、こういう基本的なモノの考え方の啓蒙というのはやはり池上さんの真骨頂だな、と思わせる内容です。