ハイブリッド戦争/廣瀬陽子

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻当初、数々のメディアに識者として登場されていた旧ソ連地域研究の専門家である廣瀬さんが、ロシアのサイバー攻撃の取組を紹介した本です。

 

 この本は2021年の出版なので、ウクライナ侵攻に関する情報はカバーされていませんが、現在のウクライナ侵攻においてもロシア、ウクライナ双方の激しいサイバー戦争が繰り広げられているということで、それにつながるロシアの取組を垣間見ることができます。

 

 ロシアのサイバー攻撃と言えば、トランプ氏が大統領に当選した2016年のアメリカ大統領選において、ヒラリー・クリントン氏の落選に大きな影響を及ぼしたことで一躍世界に影響力を知られるようになりましたが、それ以前のクリミア侵攻などでもサイバー攻撃と実際の兵器での攻撃を併せて活用することで、いち早く攻撃を既成事実化させることに成功したようです。

 

 またジョージアリトアニアなど比較的サイバー攻撃への脆弱性が見られる国家機関へのサイバー攻撃を頻繁に行っていたということで、あまり目に見えにくい所での圧力がかかっていたことを窺わせます。

 

 この本ではプロパガンダやフェイク情報の拡散とった情報戦ということが中心に紹介されていますが、ウクライナ侵攻ではインフラの管制機能や軍の司令機能を機能不全に陥れるという直接的なサイバー攻撃も見られるということで、相当な進化が見られるということです。

 

 そういった中で、ロシアのサイバー攻撃の特徴として攻撃への志向が強く、比較的に防御機能への意識が希薄なところもあって、ウクライナ侵攻でも割と重要なところへの攻撃を許してしまっているということでも、そういう傾向は継続しているようです。

 

 ということで、自由主義陣営の日本としてはロシアのサイバー攻撃の標的となるリスクは十分に考慮しておくべきで、政府はそういうところに意識がちゃんと言っているんだろうかと、結構不安になってきます…