2019年に夭逝されたエンジェル投資家でありながら、大学で教鞭を取り『僕は君たちに武器を配りたい』などの著書で若者をアジテートし続けた瀧本哲史さんが2012年6月30日に母校である東大伊藤記念ホールで開催した特別講義をまとめた本です。
その講義では10、20代限定で300人の聴講生を集めて開催されたということで、冒頭で、若年層への啓蒙活動に注力し始めたキッカケについて語られていて、ひと頃日本の状況に絶望を感じてかなり真剣に海外移住を考えられたようですが、ご本人は照れ隠しか”残存者利益”の回収と言いながら、若年層をモチベートすることでまだ立て直すことができるのではないかと一縷の望みを抱いて「武器」を配り始めたということのようです。
というのも、そういうパラダイム・シフトみたいなものというのは結局世代交代でしか成し得ないということなんだそうで、多くの人が若い世代から「武器」を携えることで閉塞感で雁字搦めの日本を変えることができると考えられたようです。
そんな中で、とにかく考え抜くことで目の前の事象についての自分なりの判断ができるようになるための不断のトレーニングを求めており、『読書は格闘技』でも語られていたように、成功者の自己啓発本を信じ込むのではなくて、自分なりのギモンをさしはさみつつ噛み砕き、血肉とするために教訓を行動にすることこそが、「武器」を携えることにつながるんだということを再三強調されています。
講義の最後で、講義の8年後にあたる2020年6月30日に再結集することを呼びかけられていて、自分なりの「宿題の答え合わせ」をしようとされていたのですが、ご自身の逝去で”約束”は果たされることは無いながらも、趣旨に賛同された人々が参集されて、単なる追悼ではなく、自分なりの決意を胸に集まられたということで、そういう人々がコアになって日本を動かすチカラになって行くことを強く期待します。
