お金の未来/山本康正、ジェリー・チ―

 

 

 暗号通貨やそれを支えるブロック・チェーン、また最近もてはやされ始めているNFTといったミライのおカネの現状を紹介した本です。

 

 現時点ではあまり日本で直接暗号通貨で決済する機会がないこともあって、なかなか浸透していかない暗号通貨ですが、諸外国では公的な決済にも既に組み込まれており、中には銀行などの金融インフラが未整備の途上国などでは、エルサルバドルのようにビットコイン法定通貨とする国も出てくるなど、仮想通貨のプレゼンスは確実に増しているようです。

 

 さらには、ステーブルコインという価値を一定の範囲に固定する仮想通貨の出現もあって、どちらかというと投機的な色彩が強かった仮想通貨の交換機能としての役割が強化されていくということです。

 

 仮想通貨がここまで広がってきた要因として、ITの進化という背景はモチロンのこと、既存の金融インフラへの不満があったことを指摘されていて、元はというと個人間の信用で成り立っていた取引が、経済活動の広がりにより国家や銀行と言った信用を取り持つ機関を介在させる必要が出てきたワケですが、情報ネットワークの進化により、見知らぬ相手への信用を担保することができれば、わざわざそういう機関に手数料を支払ってまで介在してもらう必要性が低下しているということです。

 

 個人的には、国家の通貨発行権が前提として刷り込まれているのですが、うまく仮想通貨の流通を紹介できない部分があるのですが、30年前に現在のネット上での商取引が想像できなかったように、きっとこれだけのメリットの多い仮想通貨という仕組みは、おそらくスタンダードな取引の仕組みとなっていくでしょうし、日本もこれ以上乗り遅れないようにしないとマズい感じですね…