大人になるための社会科入門/乙武洋匡

 

 

 

 『五体不満足』の乙武洋匡さんが小学校のセンセイをされていた時に出版された、活きた”社会科”について取り上げた著書です。

 

 ”社会科”と言っても、学校で教えられているような内容とは異なり、環境やお金といった社会科の内容っぽいモノを含め、性同一性障害やオタクといった、直接科目の社会科とはリンクし無さそうなモノも含めて、この本の元となったコラムが連載されていた2005~2007年当時に我々を取り巻く社会的な現象について乙武さん自身の考えを述べられると共に、そのトピックの有識者とされる方への取材で構成されています。

 

 先日紹介した『嫌いな教科を好きになる方法教えてください!』で、自分にとってリアリティが希薄だから、あまりその教科に関心が持てなくてキライになってしまうんじゃないかということを指摘しましたが、そういう意味でこの本で取り上げられているなか自分の関心のあることから読んで行って、社会への関心を深めていくことが社会科への関心にもつながるじゃないか、ということを乙武さんも示唆されているような気がしますし、確かに歴史や地理などの知識や、公民や政経などのように社会的な制度についての知識を身につけるのもそれなりに意義があることだとは思うのですが、そういうことを押し付けることでキライになられては元も子もない気もするので、乙武さんが提唱されるような身近なトピックから徐々に社会への関心を深めていくアプローチというのは、かなり意義があることなんじゃないかと個人的には思います。

 

 特に社会科は女の子でニガテにすることが多いということで、自身を守ることにつながるような社会制度を教育することも考えてみてはどうなのかな!?とこの本を読んで感じます。