子どもたちの未来を考えてみた/乙武洋匡

 

 

 

 

 昨日に引き続き乙武さんの著書です。

 

 先ごろの参議院選挙で、紆余曲折を経ながら国政に立候補したモノの、残念ながら当選はならなかった乙武氏ですが、この本が出版された2014年当初も再三政界進出が取り沙汰されながら、2016年の文春砲で断念をしたという経緯があるモノの、こういう本を出されてなかなか意欲的だったことが伺えます。

 

 国家の未来像を描く中で、ご自身が注力してきた教育、福祉、スポーツにフォーカスして語られていて、後半にはそれぞれの分野で目覚ましい実績を残されている国の駐日大使と対談して、未来のあるべき姿を模索するという立体的な構成となっており、読みごたえがあります。

 

 まず教育においては、よく堀江貴文さんや出口治明さんがおっしゃっている、正確に求められている結果を出すということが求められた従来型の教育について、ご自身が教員をされている時のご経験で、とかく横並びであることを求められたということですが、個性を伸ばすといいながら他人と異なることをすることをキビシく制限するという矛盾を指摘されていて、今後は個人の違いに応じたきめ細やかな教育を求められており、教育への財政支出の拡大を求められています。

 

 福祉においては、ご自身が身体的なハンディがあることあって、福祉を受ける側からの視点ということを中心に語られていて、社会インフラのバリアフリー化が遅々として進まない状況ということがありますが、そのバックグラウンドとして北欧の福祉先進国が障害を意識しなくていいような社会環境を作られているようで、求められればサポートはしてもらえるのでしょうが、普段はそういうサポートが無くても概ねの月道ができるようにすることを求められています。

 

 また、福祉を受ける側が受けてばかりいるのではなくて、与える側に回る機会を積極的に増やしていくことで、福祉を受ける側の自立を促すとともに、それ以外の人たちの理解を促すことにつながるのではないかという提案をされています。

 

 残念ながら今回は落選となった乙武さんですが、れいわ新選組あたりと組んで、こういった視点での施策に具体的に取組んでもらいたい気がします。