なぜ日本人は怒りやすくなったのか?/安藤俊介

 

 

 アンガーマネジメントという考え方を日本に紹介され、『「怒り」のマネジメント』など多くの著書でアンガーマネジメントを啓蒙されてこられた日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤さんが、コロナ禍を経ての日本人のアンガーマネジメントの在り方について語られた本です。

 

 コロナ禍において、マスク警察や自粛警察が跋扈したことでもわかるように、最近日本人がどんどんイライラしているように見えますが、そういう減少ってアンガーマネジメントの観点からすると、かなり理解できる状況のようで、そういう状況についての理解と、如何にしてそういう状況を克服するかということについてもこの本で紹介されいます。

 

 今までこのブログで紹介してきた安藤さんのアンガーマネジメントに関する著書は、どちらかというと発生した怒りに対して、あまり感情的にならずに、どうやってうまく収めるかということに主眼を置いていたように思えるのですが、この本では根源的に怒りが発生する原因をできるだけ少なくするようなアプローチについて触れられているように思います。

 

 その根源的な怒りの根源のひとつとして安藤さんは、自己肯定感の低さということを挙げられており、特に日本人は自己肯定感の低い人が多いことでも知られることが、昨今の日本で蔓延するイライラ感の原因の一つだと指摘されています。

 

 自己肯定感が低いと、ついつい自分のことよりも周囲に見えていることにフォーカスしてしまいがちで、しかも周囲の状況を否定的に捉える傾向が強くなってしまった結果、不満感が暴発して怒りをまき散らすことにつながるということです。

 

 そういう自己肯定感の低さについて、『ビリギャル』の坪田センセイが『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』で述べられていたように、親からの”しつけの毒”が原因になりやすいということなのですが、そういう原因志向ではなくて、未来志向で如何にして自己肯定感を高めていくかという姿勢で取り組むことが肝要で、ひとつひとつ成功体験を重ねることで”しつけの毒”を抜いていくしかないようです。

 

 こういうところを見ても、日本の閉塞感って、かなり根深いモノがありそうで、一刻も早くそういう認識の下で、可能性に満ちた日本を実現したいところです。