私たちは子どもに何ができるのか/ポール・タフ

 

 

 昨今、”親ガチャ”というコトバが取り沙汰されて、親の年収などの格差が子どもの学力の格差に影響を及ぼすことが指摘されるようになり、しかもその格差がどんどんと拡大するようになっているようです。

 

 ただ、その「格差」というのは、これまで重視されてきた学力やIQといった「認知能力」がどうというよりも、そもそも勉強に取組もうとするのに必要な粘り強さ、誠実さ、自制心、楽観主義などといった「非認知能力」において顕著にみられるということで、まずはそういうところに働きかけるのが、「格差」解消の処方箋になるのではないかという仮説の下、様々な実証実験に取り組んでこられた過程をこの本で紹介されています。

 

 どれくらいの年齢で取り組むと一番効果があるかとか、家族を巻き込んで働きかけることによって効果がどのように影響するか、また地域差といったことを踏まえて、かなり長期にわたり広範な取組が行われたということで、ある程度「非認知能力」に働き掛けることの効果が確認できたようです。

 

 特にある程度早い年齢のうちに、近親者が積極的に働きかけることで効果が上がるようで、行政などを中心としたサポート体制を作ることで、相当な効果が上がることが見込まれ、日本においては、人口減少で人材の枯渇が見込まれる中、全体的な学力の底上げが見込まれるこういう施策には大きな意義があると思われますが、如何でしょう!?