愛国論/田原総一朗、百田尚樹

 

 

 右寄りの論略とされる百田尚樹さんが、どちらかというとリベラルというか左派的な発言が目立つ田原総一朗の対談ということで、バチバチのバトル!?とも思える顔合わせですが…

 

 百田さん自身も田原さんは「左翼」だと捉えていたようで、対談のオファーがあった際には、イザとなったら「やったろやんけ!?」みたいなモードだったようで、一部のトピックではそれなりのバトルもあるのですが、意外な程邂逅されているのが印象的です。

 

 特に日本軍が無謀な戦争に突入した理由としての、メディアと国民の責任と、百田さんがケント・ギルバートさんとの対談本である『いい加減に目を覚まさんかい、日本人!』でも触れられているGHQの統治下におけるいわば洗脳プログラムであるWGIP(War Guilt Information Program)で植え付けられた自虐史観については深く共鳴されているように伺えます。

 

 自虐史観との関連で、慰安婦問題に火をつけたと言われる朝日新聞による、いわゆる吉田証言と言われる強制連行の捏造については、結構意見が対立して、この本の中では比較的ヒートアップされていますが、朝日新聞の捏造の害悪については意見は一致していて、それを元に国連での非難決議が行われるなどその弊害の大きさと、それでもロクな謝罪をしようとしない朝日新聞の姿勢については大きなギモンを呈されています。

 

 特に日本のメディアは朝日新聞を筆頭として、GHQのWGIPが効きすぎたからか、どうも自国に対する愛情を感じないということについてお二方が語られていることが印象的で、プレーンにモノを見れない姿勢がまた戦前のようなミスリードを生み出してしまいかねないと危惧されています。

 

 この本が出版されたのが2014年で、ここ10年弱で随分と既存メディアの重要性が相対的にさらに低下して行っていますが、お二方がおっしゃられるような姿勢に気付いた国民が既存メディアを見捨てつつあるということなのかも知れません。