ブランディングが9割《ケーススタディ篇》/乙幡満男

 

 

 昨日の本の続編で、実際に乙幡さんが手掛けられたコンサルティングの中で経験された内容を守秘義務に抵触しないカタチで焼き直したケースとして、具体的なブランディングの方策について紹介されています。

 

 割と昨日の正編があまりに教科書的に整い過ぎているところもあったのですが、この本ではそういう”教科書的”に取組もうとする際に陥りがちなワナを踏まえて紹介されています。

 

 特に正編で紹介されていたコアのターゲットとなる顧客のイメージであるペルソナを思い描くがあまり、そちらのイメージに引きずられて自社製品に求められるはずの便益を見失ってしまうことが多々あるようで、そういうペルソナのイメージを思い描く際には、インタビューなどの客観的な手段も活用して独りよがりにならないように細心の注意を払うことが肝要なようです。

 

 また、正編でも触れられていたように、顕在化しているニーズには競合他社も的確に対応してくることが想定されるので、如何にして顧客自身も意識はしていないけれども、潜在的に解決して欲しいと感じているニーズを如何にして見出すかということが、差別化の大きな要素となり得るということで、特に機動的に細かなニーズに応え得る中小企業ならではの腕の見せどころでもあるようです。

 

 正編でもこの本でも再三おっしゃられているのが、価格を下げるというのは「最終手段」であり、価格を下げるという方策を取ること自体が、これまでのブランディングの努力を根底から損なうというリスクがあるということをキモの銘じておく必要があるようで、徹底的に考え抜いたら、価格を下げることを避けた上で拡販につなげられる方策があるはずだということをおっしゃられていて、そういう不断の努力こそが成功への近道と言えそうです。