駒澤大学仏教学部教授が語る仏像鑑賞入門/村松哲文

 

 

 ヨメが西国三十三ヶ所参りを始めてから、ワタクシも時折ついて行くことがあるのですが、その中で仏像をどう鑑賞するモノなんだろう…と思っていくつか見てみたのですが、ただ単に有名な仏像が並べてあるだけのモノがあるかと思えば、やたらと由緒が深く語られているモノもあって、どこか帯に短し襷に長しみたいな感じだったのですが、ようやく決定版を手に入れた感じです。

 

 著者はタイトルにもあるように駒澤大学で教鞭を取られている仏教関連の美術史の研究を専門にされている方なのですが、Eテレで放映されている『趣味どきっ!』の仏像編でも案内役を務められているということです。

 

 この本では百済から始めて仏教が伝来した頃に入ってきた仏像に始まって、概ね日本の仏像の発展が完成したと言われる運慶、快慶などの慶派が活躍した鎌倉時代までの進化の過程を体系的に説明されていて、それぞれの時代の特徴を解説されているので、ある程度この本を片手に仏像を見ているうちに、あ、これは何時代のモノだ、とわかるようになっており、個人的に「そこ、そこ!!」と快哉を叫びたくなる程、欲していた内容のモノとなっていて、すぐにでも本を片手に出かけたるなるほどです!(笑)

 

 聖徳太子の時代から鎌倉時代至るまで、どんどん仏像は写実的になるような進化を遂げて、白鳳時代には正面からみるようにしか作られていなかったモノが、慶派が活躍した鎌倉時代にはむしろ誇張され過ぎと言えなくもないほど、武家の時代にふさわしく筋骨隆々で欠陥が浮き出るようなマッチョなモノを表現されるまでになったようで、技術だけでなく材質も様々に変容した言った様子を紹介されています。

 

 こういう風に大きな流れの中で有名な仏像を紹介してくれると、特徴が分かりやすく、せっかく奈良に住んでるんだからこの本片手に早速あちこち見て回って確かめようかと思います。