一流の育て方/ムーギー・キム、ミセス・パンプキン

 

 

 グローバルビジネスのフィールドで活躍されて、『最強の働き方』などご経験を踏まえたビジネス書の著者としても知られるムーギー・キムさんが、ムーギーさんだけではなく、様々なフィールドで活躍されている4人のお子さんを育てたお母様であるミセス・パンプキンと、グローバルな環境でも活躍できるような人材を育てるノウハウについて紹介された本です。

 

 学生の時にはかなり優秀な成績を収めた人材であっても、特に日本の教育制度においては、必ずしもグローバル・ビジネスのフィールドで活躍できる人は限られていますが、この本ではそういうギャップを乗り越える人材を育てる方法論を紹介されているワケですが、そういう方向性を志向しようと思うと逆に生命力の強さなど、親の側にしても人間性が問われることが多くなるようです。

 

 ある程度はアタマの良さも必要なのは間違いないんでしょうけど、それよりも一時期アンジェラ・ダックワースの『やり抜く力』で脚光を浴びた最後までやり抜くチカラである「グリッド」だったり、誰とでもすぐに打ち解けられるコミュニケーション能力だったり、自分で何でもこなしていけるような自立性だったりといった能力が求められることが多いグローバル・ビジネスのフィールドですが、そういった生きるチカラの強さを授けるためのノウハウがこの本に詰め込まれています。

 

 ただ、そういう方法論って単なるノウハウでは片づけられないところがあるようで、親の生き様みたいなモノを子どもに見せると同時に、無条件で惜しみない愛を子どもに注ぎ、子どもを絶対的に信頼することでゆるぎない自己肯定感を持たせることがすべての前提となるようで、小手先のテクニックを求めて手に取った人にとっては、なかなか絶望を覚える内容だったかもしれませんが、親としても自分の越し方を見直しつつ、子どもが単に成功を収めるというよりも、人生を十全に楽しむような姿勢を身につけてもらうために、自身の生き方も変えていく必要があるのかも知れません。