ルポ百田尚樹現象/石戸諭

 

 

 昨日、百田尚樹さんの大著『日本国紀』を紹介しましたが、この本は『日本国紀』が大きな反響を呼ぶなど、百田尚樹さんが大きな毀誉褒貶を巻き起こしている状況をレポートされた本です。

 

 ワタクシが子どもの頃、おそらく関西ローカルの番組だと思うのですが『ラブアタック』という上岡龍太郎氏が司会をされていた番組で、シロウトの大学生が出演するのですが、その中でオモシロいヤツが準レギュラー的になって出演していて、その中の一人が百田さんだったということです。

 

 で、この本では百田さんご自身を始めとして、文藝春秋誌の元名物編集長で百田さんを支持されていたという花田紀凱氏や、百田さんの著書を多く出版されている幻冬舎社長で角川書店で伝説な編集者として語り継がれる見城徹氏などにも百田さんについてインタビューされているのですが、イマイチ著者のスタンスがよくわからないのと、ツッコみが甘くて本質的なコメントが引き出せていないこともあって、どこかどっちつかずの印象が否めません。

 

 その後、百田さんと同じく右寄りの論者として知られ、右翼的なスタンスを若年層に広めたと言われる漫画家の小林よしのりさんや『新しい歴史教科書をつくる会』なんかを取り上げて、延々そっちを深堀していってしまいますが、百田さんとの絡みや論点の比較をするワケでもなく、ただただ右寄りの人のスタンスを並べて、挙句の果てに百田さんのポピュリズム的なスタンスは読者を楽しませたいというサービス精神のなせるワザでしたって…わざわざ300ページも読んできた読者の立場はどうなるのでしょう…単に百田さんの名を借りた売名行為!?と訝しみたくなるような内容で、どうせならハラを据えて百田さんにケンカを売って欲しい所でしたが、あんな人を敵に回したくはないか…