藤原正彦の人生案内

 

 

 山岳小説というジャンルを作り上げた新田次郎さんのご子息で、数学者でありながら『国家の品格』などのベストセラー作家としての側面も持つ藤原正彦が読売新聞の『人生案内』という人生相談のコーナーでの回答を集めた本だということです。

 

 この本自体の出版が2006年で、実際に読売新聞に掲載されたのが1999-2000年だということで20年以上前の人生相談ってどんなんだろう…とちょっと興味が湧きます。

 

 冒頭に自分に人生相談なんて務まるんだろうか、と悩んで奥さまに相談されて、”無常識”なあなたが世間の常識を学ぶのにいいかもね!?と背中を押したんだかどうなんだかという励まし方をされたのを見て、ずっと以前に『遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)』(このブログでは未紹介)での藤原家のやり取りを思い起こして

クスッとしました(笑)

 

 10代から60代以上まで年代ごとに章建てして悩みへの回答を掲載されていて、悩み自体は20年ちょっとじゃそんなに変わらないんだなぁ、と感じたのですが、時代背景なのか藤原さんのキャラなのか、回答自体にかなり時代がかったモノを感じます。

 

 というのも、子育てに関する質問で、子育ての過程である程度の年代までは体罰を加えても最低限の規律みたいなモノを叩き込むべきだ、とおっしゃっていたり、甘やかやした結果、どうしようもなくなった子供への対応について、縁を切ることも視野に入れて突き放すべきだとかとおっしゃっておられて、一定のキビシさをもって子どもに向き合うべきだという姿勢が感じられて、今の目から見ると少々行き過ぎ感を感じなくもありません。

 

 確かに、一定のたしなみを身につけさせることが親の責任だというのは、ワタクシも同感ですが、かなり隔世の感を感じるモノではありました。