社会的な身体/荻上チキ

 

 

 評論家の荻上チキさんが2009年に出版されたメディア論です。

 

 この本におけるメディアというのはかなり広義のモノを含んでおり、テレビだったり、この時期はまだそれほどスマホが普及していなかったので、ケータイ、インターネットといったまだメディアとして捉えられるモノから、お笑いやゲームも含めて語られています。

 

 最初のトピックで、新たなメディアが次第に受け入れられるようになってくる過程について語られていて、テレビにせよネットにせよ、普及当初は例外なく、守旧派から有害論が取り沙汰され、次第に使用する人が増えて、ゴリゴリの守旧派を除けば受け入れざるを得ないような状況になって定着するということです。

 

 当時はまだ、ネットがテレビに取って代わるといった論調もあったということなのですが、この本が出版されてから10数年が経つ現在においても、随分と若い世代にはテレビというメディアがかなり隅に追いやられているようには見えるモノの、未だそれなりの存在感と影響力を示しており、この本で指摘されているように、ユーザー側が”いいとこどり”をするという予言が大抜寝的中しているように見えます。

 

 お笑いとゲームについての論評は、双方ともワタクシ自身がそれほど関心が薄いのと、かなり分析モデル的な論評が難解で、全くアタマに入ってこなかったのですが、お笑い第〇世代という言及があって、この本の執筆時点ではサンドイッチマンバナナマンを第五世代として紹介されていて、つい先ごろ取り沙汰されていた第七世代というのは、その世代を売らんかなで突然言い出したことでは無かったんだな…とどうでもいいことだけしたアタマに残っていません。

 

 まあ、割と哲学的というか、分析的なメディア論が好きな人には刺さるのかも知れませんが、個人的にはダメでした…