2013年出版の『嫌われる勇気』の大ヒットで一躍名を馳せたアドラー心理学ですが、この本は新星出版社の『サクッとわかるビジネス教養』シリーズの一冊として、ビジネスにおけるアドラー心理学の活用法を紹介されています。
一応、ビジネス教養と銘打っているので、ビジネスでの活用ということが主眼ではありますが、心理的にネガティブモードになっている状況ならば、学生でも全然活用できるような汎用性の高いモノとなっているように思えます。
アドラー心理学に関する本を紹介する時にいつも言っているのですが、『嫌われる勇気』がやたら持って回ったまわりクドい表現で難解な印象が強いのですが、『嫌われる勇気』シリーズ以外のアドラー心理学に関する本は随分シンプルで分かりやすいモノが多く、この本も例外ではありません。
冒頭でアドラー心理学の5つの要素として、
1.自分が運命の主人公(自己決定論)
2.人の行動には目的が必ずある(目的論)
3.人は心も体もひとつとして考える(全体論)
4.自分だけの心のメガネを通して世界を見ている(認知論)
5.人は「特定の誰か」を想定して行動している(対人関係論)
を紹介されていますが、この本ではビジネスに限らず、ネガティブな心情になる際の対応として、5つの主要な要素のサブシステムとなる、「自己受容」だったり「勇気づけ」だったりというアドラー心理学でよく出てくる概念を活用したリカバリーを紹介されています。
あくまでも目の前の事象はどういう状況なのかを決めるのは自分の認識なので、ネガティブな心情になるのも自分が決めているということで、目の前の状況をプラスに捉えるような習慣をつけることで、前向きな姿勢を取れるようになるということです。
だから失敗も次への糧、みたいな心持ちになれればいいのですが、日本の教育もしくは社会だと極度に失敗を恐れる傾向が強く、できれば失敗を避けよう避けようとしてしまいがちで、それでも失敗をしてしまった場合、なかなかそういうプラスの方向への認識を持つことが難しいんじゃないかという気がしますが、それだけにそういう状況を払しょくしようということで、多くの日本人にアドラー心理学が受け入れられたのかも知れませんね!?