観光立国・日本/箱谷真司

 

 

 ワタクシが通訳案内士試験を受験していた頃は、毎年インバウンド数が必ず試験に出題されていたのを記憶していて、倍倍ゲームで2020年に開催されるはずだった東京オリンピックの年には4000万人を見込んでいたところがコロナ禍で、ほぼゼロになってしまい、2022年後半になってようやく再開された途端、それなりの数のインバウンド客が戻ってきてくれているのですが、この本はまだ再開前に執筆されていたモノだと思われます。

 

 コロナ禍によるインバウンド停止が3年にも及んだこともあって、ワタクシに取って同志たる通訳案内士の中でも専業として携わられていた人たちの中には、苦渋の選択で転換をせざるを得なかった人も2、3割になるということです。

 

 さらには、宿泊施設などでも廃業が相次いだということで、もう数年コロナ禍が長引いていれば、日本の観光業は壊滅的な打撃を受けたはずで、かろうじて生き延びている業者さんも、もしさらなる蔓延があれば耐えきれないところも多そうです。

 

 モチロン、円安や物価上昇の影響で他の業界が低落傾向にある中、円安の恩恵を受けるインバウンドが日本経済を引っ張っていく必要があり、苦境にある業界を立て直す支援が喫緊の課題ではあるのですが、一度一息ついたことで、急激に増加するインバウンドにダマしダマし対応してきて、オーバーツーリズムなどの弊害への対策を講じる時間もできたということで、そういう課題を克服しつつ、改めて活性化を図ろうという機運ができつつあるようです。

 

 また、どうしても京都・奈良・大阪~富士山などの業界用語でいういわゆるゴールデンルートに集中しがちなインバウンド客を、リピーターを中心的なターゲットとして地方の観光地に呼び込むための方策も充実させつつあるようで、そういう地力をつけて改めて充実させていってもらいたいモノで、登録直後にコロナ禍となったワタクシも案内士デビューを飾りたいところです。