すべてのカーブにはわけがある/米屋こうじ

 

 

 鉄道のカーブについて語られた本です。

 

 基本的に鉄道のレールというのはできる限り、目的地に向けてまっすぐに引くのが一番効率がいいワケですが、モチロンそういうワケにも行かず、一定のカーブをつけなければいけないワケで、そのカーブをつけなければいけない理由を、

 ・山地を克服するために

 ・密な都会を縫って

 ・川の流れに忠実に

 ・大人の事情でやむを得ず

の4つに分類して章立てをして紹介されています。

 

 特に急カーブを中心に語られていて、江ノ電の腰越から江ノ島に向かう、公道上を走る部分が日本一の急カーブなんだそうですが、どうしても鉄道のカーブと比較すると道路のカーブは急になりがちなことから、かつての路面電車もそうだったように、公道上を通るレールは通常より急カーブになりやすいということです。

 

 「大人の事情で」というのは現代人には分かりにくいところかもしれませんが、鉄道敷設が盛んな頃は、政治家が自分の選挙区に鉄道を誘致することが票につながるということで、誘致合戦が繰り広げた挙句、とんでもない迂回ルートができてしまったようで大船渡線で典型的な大迂回が見られるということです。

 

 それにしても鉄道のカーブで一冊の本ができるということで、鉄オタ以外には全くどうでもいい本なんでしょうけど、ワタクシも”鉄”として、かつて乗ったことのある路線が多く取り上げられていて、非常に楽しく読ませていただきました(笑)