がん治療うまくいく人、いかない人/井岡達也

 

 

 時折取り上げるがん治療本の1冊なのですが、この本はご自身ががんの専門医であるにも関わらず、奥さまががんにかかって、患者の家族という立場に徹して見えた景色を踏まえて、がん患者とその家族の理想的な在り方について語られた本です。

 

 井岡先生が全編を通して強調されるのが、冷静に状況に対応することの重要性で、がんに罹って冷静でいられるか!というのはもっともで、なかなか受け止めるのには葛藤がありますが、罹患を知った時からいかに状況をプレーンに捉えて、それに対してできることを医療関係者や家族としっかりとコミュニケーションを取ること体制を早めに確立することをススメられています。

 

 また、がんに罹ったからと言って、いきなり治療のために仕事を辞めてしまうということも避けた方が良いということもアタマに置いておいた方がよさそうです。

 

 治療の過程でもなかなかウマくいかない状況が続くと、医師に不満が溜まって病院を変えたくなったり、治療法をアレコレ試したくなったりするようですが、得てしてそういう姿勢はマイナスの方向に振れることの方が多いようで、主治医を信頼して良質なコミュニケーションを図り、必要であればセカンドオピニオンの取得なども含めて、プレーンな判断ができるだけの情報を集めた上で、主体的に治療の方向性を考えることも重要だということで、「楽観的にも悲観的にもならず」に冷静に対処することが肝要なようです。

 

 ワタクシ自身も一度がんと診断されて、毎年1回再発のチェックをしてもらっているところですが、ワタクシの場合は、生検の結果が出るまではがんかどうかもわからず、かなりの初期だったということもあって、あまりがんと診断されたからと言って動揺するような状況ではなかったのが幸いしたようなのですが、結果として冷静に対応できなのが良かったということを改めて認識させられます。

 

 ということで、がん治療中の方はモチロン罹患の経験がない方も心の準備のために一読してみては如何でしょう!?