「意欲のある人、求めます。ただし60歳以上。」/加藤景司

 

 

 高齢者を積極的に雇用する企業としてひと頃メディアでも盛んの取り上げられた加藤製作所の社長が、高齢者雇用の取組について語られた本です。

 

 元はと言えば、2001年に土日にも稼働する必要性があって、比較的スケジュールに余裕があるであろう、高齢者をターゲットにして募集をしたことがキッカケだったということで、その頃もリタイア後にも働きたいと思っている高齢者は少なからずいたはずなのですが、当時は受け皿となる雇用が少なかったということで、募集当初かなりの反響があったようです。

 

 ただ、定着させるにはかなりの苦労があったようで、現役世代とシルバー世代では必要となる労働環境が異なるということで、フツーより照明の照度を明るくしたり、作業漏れが無いような仕組みを取り入れたりということで、当初は頻発した品質の低下を防ぐ仕組みを次々と取り入れたことを紹介されています。

 

 また、なかなか作業がうまくいかないシルバー社員に対して、現役社員がキビシメに対応してしまうことで軋轢が生じたこともあったようですが、粘り強く対応するように促すなど、またコミュニケーションの機会も積極的に持つことで現役社員とシルバー社員との間のカベを取り除くことにも腐心されたようです。

 

 ということで、高齢者を定常的に戦力にするためには通り一遍の覚悟では通用しないようですが、それでも少子化労働人口が減少して行き、人生100年時代と言われる中、高齢者の雇用抜きでは立ち行かないことも想定され、こういう覚悟を以って積極的に取組まないと、企業の存亡の危機だというくらいの覚悟を以って早目に取組まないと、取り残されてしまうかもしれませんよ!?