小さな会社が本当に使える節税の本/冨田健太郎、葛西安寿

 

 

 節税の本というと、愛人を囲う費用も節税のネタになるだとか、どっちかというと面白おかしく読んでもらうための、ヘタをしたら脱税スレスレみたいなネタじゃないかというモノがもてはやされる向きがあるということで、この本の著者のお二人の税理士さんは割とマジメな方のようで、ホントに「使える」節税の手法を紹介しようとされている本です。

 

 「使える」節税の手法とおっしゃっておられるのが、得てして節税の本で紹介される手法というのは横並びで紹介されていて、あまり優先順位みたいなモノがつけられていないことが多いということで、効果の高いモノと、できれば避けるべきモノをキチンと分別されているところと、目先の節税に走るのではなくて、長い目で見て会社の利益となるような手法を取るべきだとされているという2つの意味があるようです。

 

 特によくある費用を積み上げる手法については、ホントに必要な費用を計上するのはいいのですが、ただ節税のために経費を使うのは単なるムダ遣いにしかすぎず、結局は利益率を落とすだけだということを指摘されているのが新鮮です。

 

 また、前倒しの経費計上なども、単なる「期ズレ」であって結局翌期の費用となるのであんまり意味がないという、言われてみれば当たり前のことを、目の前の節税にかまけて忘れているんじゃないか!?とおっしゃられています。

 

 そうではなくて、必要な経費をキッチリ税制に基づいた制度化をすることで積み上げることが肝要で、出張に関する社内制度の整備でスムーズに損金算入ができる制度を進められていたり、社宅制度の拡充で実質的な社員への昇給につながりながら、節税にもなる効果的な手法が数多く紹介されているのが印象的です。

 

 結局、節税も正しい知識と経営戦略の一環としての取組をすることが王道であり、テクニックに走るとロクなことは無さそうで、そういう方向転換のキッカケとして経営者の方は一読してみては如何でしょうか!?